補完代替医療の研究が進む

ことし10月、第54回日本癌治療学会学術集会が横浜で開催されました。シンポジウムでは、大阪大学大学院准教授の大野智(おおのさとし)さんにより「 補完代替療法のリスクとベネフィット」についての講演が行われました。

補完代替療法とは?

補完代替療法とは、西洋医学を補完する補完療法と西洋医学にとって代わる代替療法の総称です。

具体的には、一部の漢方、鍼灸、指圧、気功などの中国医学、アーユルヴェーダを代表とするインド医学など世界の伝統医学や、サプリメント、健康食品、ハーブ療法、ホメオパシー、アロマセラピー、ビタミン療法、食事療法、ヨガや瞑想などの精神・心理療法といった民間療法、温泉療法、免疫療法酸素療法、等の保険適用外の新しい治療法も含みます。

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補完代替療法に深まる感心と医師の知識不足

多くのがん患者さんが補完代替医療に関心を持ち、実際に利用しています。非科学的で効果の証明されていない物も多いと言われる代替医療ですが、海外では既に多くの医学部で講義が行われるなどして医師の教育に組み込まれ、人を対象とした臨床試験も積極的に行われています。

ところが、日本では診療に当たっている医師が代替医療について知識不足なことが指摘されています。

2003年の調査によると、漢方以外のアーユルヴェーダやホメオパシー、鍼などの代替医療についてほとんどの項目で「知らない」と答えた医師が8割以上、「実践していな」のは100%に近い数値が出ています。

恐らく、このような状況は、現在もほとんど変わっていないと思います。その理由のひとつとして、日本の大学医学部では、補完代替療法に関する教育が、カリキュラムに組み込まれておらず、系統的に講義を受けることができないという事情が考えられます。(大野氏)急増する補完代替療法の臨床試験より

臨床試験の進む補完代替医療

補完代替医療の臨床試験

一方で、補完代替医療の臨床試験は進み、研究結果も多く報告されてきています。

中でも、「ランダム化比較試験」と呼ばれる正確性の高い方法を用いた研究が増えていることは、補完代替医療が科学的に検証されつつあることを示していると言えるでしょう。

科学的検証の信頼度の目安

多くの民間療法では、効果があることの根拠を様々な論文や本から引用したり、「がんが消えました」等の体験談を示しています。わらにもすがる思いで信じたくなってしまいますが、その科学的な信頼度にはレベルがあることを知っておきましょう。

最も正確性が高いのは「ランダム化(無作為化)比較試験」と呼ばれるもので、対象者を無作為に2つのグループに分け、本物の薬と偽の薬を投与して効果を検証する方法です。こうすると、「気のせい」で良くなったのか、本当に薬の効果があるのかハッキリさせられます。ただし、薬を用いないマッサージや鍼などには、この研究方法を用いることはできません。

次に信頼性の高いものが「非ランダム化(無作為化)比較試験」で、対象者を分けるときにランダム化を行わないものです。

その他信頼度順に、数年~十数年の追跡調査を行う「コホート研究」、既に病気になった人を年齢や性別ごとに原因を過去に遡って比較調査する「患者対象研究(症例対象研究)」、ある人の病気には有効であったという治療法や予防法をまとめた「症例報告」、動物や培養細胞を使った「実験室の研究」と続きます。

実際に目にすることが多いのは、「経験者の口コミ」や「権威者の意見」です。これらは非常に具体的で、説得力があるように感じますが、どのような科学的根拠に基づくのかを冷静に見極めて判断しなければなりません。

補完代替医療と上手に付き合うために

医師の知らない補完代替医療

このように、効果がやっと検証され始めて、医師の間でもまだ知識不足なのが補完代替医療です。しかし、実際に「がんが消えた」「再発しなかった」という声が聞かれれば、気になるもの。私たちは、補完代替医療をどのように考え利用していくべきでしょうか?

日本補完代替医療学会では、次のような見解が述べられています。

代替医療は、概して毒性が少なく、また患者に対して侵襲の少ない治療法であり、これまで諦めらめていた難病の患者さんにも朗報をもたらすものです。また、薬品による副作用、環境汚染、経済問題、医師に対する不信感など今後21世紀の諸種の医学の問題点を解決し、かつ医療の質の向上に大いに貢献するものと期待されます。このように、患者にとっては、すばらしい選択肢が与えられることになりますが、逆に現代西洋医学を完全に否定し、超自然主義を唱えて科学的根拠のない治療法を押し付け、原始時代へ逆行する愚かなことは当然避けるべきことと考えます。

まずは科学的根拠に基づく最新の情報を集め、その信頼性を自分の目で見極めることが必要のようです。

補完代替医療の科学的根拠のデータをまとめた書籍

いろいろな補完代替療法について論文を調べ、科学的証拠がどの程度あるものかをまとめた解説本としては、「がんの補完代替療法クリニカル・エビデンス2016年版」(金原出版,緩和医療学会)が出版されています。

ここで取り上げられているのは、鍼灸、健康食品、アロマテラピー・マッサージ、ホメオパシー、アニマルセラピー、リラクゼーション、音楽療法、運動療法、ヨガ、高濃度ビタミンC点滴療法、免疫療法など。

それぞれ身体症状の臨床データをまとめていて、ご自身に取り入れるかどうかの大きな判断材料になります。また、健康食品と医薬品の相互作用による副作用の事例も掲載されており、薬と食事療法を併用する方は必見です。

どのくらいの効果が見込めるのかをきちんと知り、医師にも相談した上で代替療法を上手に取り入れたいですね。

仙台で補完代替医療を相談するなら

補完代替医療の利用について、相談できる医師がいない、判断がつかないというときには、宮城県がん総合支援センターに相談することができます。電話相談と窓口での相談が可能です。

また、東北大学病院がんセンターの運営するポータルサイトがん情報みやぎでも病院や相談先を検索することができます。

情報・意見を取り入れるときの心構え

補完代替医療の研究を調べたり、医師や窓口で相談するときにも最後は自分自身の価値観や死生観をもって決断しないといけません。情報や意見に触れるときに必要な心構えについて、「がんの補完代替医療ガイドブック」よりご紹介します。

① ものごとを疑う
「ものごとをうのみにしていないか?」「かたよったものの見方をしていないか?」など、与えられた情報に対して自分自身がどう判断しているか、客観的にもう一度考え直してみましょう。大切なのは、与えられた情報に対して一度自分なりに吟味してみることです。疑い深いと思われるかもしれませんが、「健康食品でがんが消えた」といった体験談を書いている人は、健康食品以外にも化学療法をしていたかもしれません。「がんが消えた」というのも本当にレントゲンなどの画像検査で確認されたかどうかも、画像写真がなければ分かりません。

② 柔軟に考える
情報を一面的にとらえるのではなく、多面的に見たり考えたりすることが重要です。そして、もし自分の考え方が間違っていると感じたら、素直にそれを認め、考え方を修正することも大切です。がんにかかり精神的にパニックになっているような場合やマスコミが大々的に報道し健康情報が大ブームになっているような場合は、情報を一面的にしか見ることができなくなります。そのような時にこそ、柔軟な考え方を忘れないようにしてください。

③ 単純化しない
「健康食品でがんが消えた」など、ものごとを単純化・一般化して考えると何となくよく分かったような気がするものです。しかし実際にはものごとは複雑にできています。何にでも当てはまるのか、例外はないのかなど、もう一度冷静になって考えてみましょう。ものごとをとらえる時の重要な情報を見落としてしまう可能性があります

癌の補完代替医療まとめ

がんの補完代替医療

研究が進み、補完代替療法は本当に効くかどうか分からないという状況は、解消されつつあります。がん治療の選択肢が増えたことは私たちにとって嬉しいことですが、情報をきちんと精査して自分自身に合った確かなものを取り入れていかなければいけません。
「これは良い」「これは悪い」という情報に一喜一憂せず、また医師も補完代替医療については知識不足である可能性を踏まえ、多面的・客観的な判断を心がけましょう。

とはいえ、補完代替医療の効果の全てが解明されるまで待っていては、いつまでも利用することができません。それに、抗がん剤など西洋医学の薬であっても半分の人に効けば良い方なのが事実です。
→ 薬で病気は治らない。仙台で自己治癒力を高め「脱・薬漬け」を目指すなら

もちろん調べられる範囲では調べ、医師にも相談した上でで、取り入れられるものは試してみて自分の体の様子を見ながら合ったものを見つけるのが最も賢い方法かもしれません。

体温上昇・免疫力アップ!がん患者さんが利用する調圧ルーム

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